まつなみ行政書士事務所

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これからの成年後見後見制度に求められること

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高齢になり判断能力が低下してくると、例えばお金の取り扱いが難しくなったり、体調を崩しても病院に行くことができなくなったり、詐欺などの犯罪の被害者になったりする恐れがあります。そして認知症と診断されるような方であれば、日常生活を送ることが困難になるでしょう。そのような方を守るために、日本では成年後見制度があります。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
民法第7条

成年後見制度とは、裁判所が認知症などの理由により判断能力に欠く方を「成年被後見人」と、支援していく方を「成年後見人」と定め、本来本人にしかできない財産管理などを代理で「成年後見人」が行うことができるようになります。
例えば「成年被後見人」が詐欺まがいの契約をしてしまったら、第三者であるはずの「成年後見人」はそれを取り消すことができるなど、強い権限が与えられます。
(判断能力の程度によっては、『補佐』『補助』という限定的な代理権にとどまる場合もありますが、この項では割愛します。)

令和3年時点で成年後見制度を利用している方は約24万人と言われています。
制度はあっても、生活上大きな支障が生じない限りあまり利用されていないのが実状で、今後の高齢社会で認知症等によるトラブルが今後増えてくると予想されます。そこでそれを未然に防ぐため、また「成年被後見人」が満足のいく成年後見制度になるために、成年後見制度利用促進法が平成28年5月に施行されました。

成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。
成年後見制度利用促進法第3条

『代行決定』からの脱却

成年後見制度がより成年被後見人にとって喜ばれるものとなるためには、これまでの成年後見人が当然のように行ってきた『代行決定』を、『意思決定支援』にシフトしていくことがポイントです。

成年被後見人は加齢よるコミュニケーション力や判断能力の低下により一見不合理な言動をとることがあります。それを見ていた第三者の成年後見人は、この人の代わりに私が判断してあげなきゃいけないと強く思うのは自然なことかもしれません。しかし本当にそうしなければいけないでしょうか。

マズローの欲求五段階説でも言われていますが、安心して暮らすことができるなら、人は次に社会に参加し認められたくなるものです。

法制度により財産や身体を安全に守ることができるでしょう。これは今までも十分に行われてきたのではないかと思います。そして次の段階として、その判断で成年被後見人を置いてけぼりにしないことが求められるようになってきました。コミュニケーションの充実を図り、成年被後見人が充実して生活して過ごすことを重視するようになっていきます。

『意思決定支援』を行うには

ひと口に意思と言っても心の中に生まれて外に表明されるまで様々な要素が絡み合います。

●意思の形成:決定するためには適切な情報が必要なので適宜提供する
●意思の表明:躊躇されるような関係性や環境だと表明しづらくなる
●意思の実現:無視や否定され続けると意思表明しようとする意欲は弱まる

それを達成するためには成年後見人の力だけでは十分ではありません。

人は多面的なものですから、後見人に見せる顔、家族に見せる顔、友達に見せる顔、ひとりの時の顔など、様々なものが重なり合っているのが一人の人間です。
ですので、後見人だけでいくら努力しても本当に満足のいく支援をすることは難しいでしょう。

本当に満足してもらえるような支援には、その成年被後見人の周りの人すべて、いえ、それどころか本人までもワンチームとなって、課題解決に取り組む姿勢・覚悟が求められます。
成年後見人ひとりが成年被後見人のことを代行決定するのではなく、成年被後見人が自分の意思で自分の生活を決められるようにみんなで協力し合うのです。

支援する側も周りに力を助けてもらうことで

高齢者が、例えば徘徊や暴力で周りの人に迷惑をかけるというとき、周りの人はなせそんなことをするのか、その理由はわからないことが多いです。
一見不合理な行動に見えても本人の心の内には何か伝えたい思いややっておきたいことがあり、それがうまくいかないから一見奇行と見えることを行ってしまう。それに戸惑い、周りの人間がコミュニケーションを放棄してしまうとおそらくそれはエスカレートするか、ふさぎ込んでしまうと思われます。成年被後見人の周りにいる人は、一人だけですとその顔の一部しか見ることはできませんが、多くの人が見た顔を持ち寄りつなぎ合わせると、その本心がよりクリアにとらえられるかもしれません。

周りには成年被後見人の家族、ケアマネージャー、医療従事者、ボランティア、(法律職が多い)成年後見人などがいるでしょう。それぞれ見てきたものや得意としているものは違います。それぞれの力を合わせて、成年被後見人が求めていることをできる限り実現しようとすることで、この『成年被後見制度』が意味のあるものになっていきます。


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