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任意後見について(その2)

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任意後見契約を締結するための手順

任意後見契約を締結するための手順は下図のとおりです。

専門家への相談

自分の財産やお金をどのように使って生きたいのかなど、もし後見が必要になった場合にどうして欲しいのかという自分の希望を伝え、そのうえで専門家はどのような契約形態がよいかを提案します。

契約形態とは、前項でも紹介した『移行型』『将来型』『即効型』のことです。
任意後見契約だけ締結するのか、または財産管理等の委任契約も併せるのか、などご自分の希望や状況から判断して、より適したものを選びます。

その次は代理する内容を決めていきます。
例えば財産の処分などです。任意後見契約は本人が任意後見受任者に法律行為を委任するものですので、委任する法律行為の範囲を決めたら、それを代理権目録としてまとめておきます。

なお代理や委任することができない介護・看護、死後事務を気にされる方もいらっしゃると思いますが、これは残念ながら任意後見契約に含めることはできません。
もし希望する場合には、尊厳死宣言などの公正証書を作成したり、死後事務委任契約を別途締結するといいでしょう

ただ結んだ契約内容や代理権目録がずっと変わらないでいることは稀です。
締結後、本人を取り巻く状況や後見制度へ対する理解も変化するでしょうから、本人の判断能力がしっかりしている間、何度も聴きなおし、書き直しするのが一般的です。専門家と定期的に面談することで、自分の考えをお話しするといいでしょう。

関係者への説明

関係者というのは、本人の配偶者・子・兄弟姉妹などの推定相続人、また本人と関わりの深い友人や福祉サービスを受けている場合にはその担当の方などです。

できる限りその全員に連絡して、一緒に説明を受けて、検討していただくことが大切です。
こうすることでより正確な情報が把握でき、必要な措置をとることができます。

また推定相続人間で遺産を巡る争いが起こる可能性があるか、また委任後見受任者として適任かどうかなども調査・確認でき本来の目的に反した使い方(例えば、本人の財産を把握し、財産の管理をしつつ自分に有利な遺言を作成するなど)を防ぐことができます。

他の制度との比較

類似する制度を紹介し、そのメリット・デメリットが本人の希望に沿えるのかをしっかり判断してもらいます。
その結果、やはり任意後見制度が適しているならば、契約内容(いつから、だれにどのような法律行為を委任するかなど)を決めてもらいます。

なおよく任意後見制度と比較検討される制度は以下のとおりです。

法定後見:本人に判断能力がない場合の後見制度。任意後見と大きく違うのは、本人が後見人を選ばないことと、取消権が存在することです。
信託:財産信頼できる人に託し、受託者は委託者の希望に沿って管理・運用し、必要な給付を行う制度。ただ身上監護は行うことはできない。
家族信託:あらかじめ財産を信頼できる家族に託し、管理・処分を任せることです。財産の所有者が認知症になってしまった場合でも、資産が凍結されることなく、その子供が財産の管理や運用、処分をおこなうことができます。

任意後見契約公正証書の作成

任意後見契約は通常の委任契約と異なり、法務省令で定める様式の公正証書によって締結する必要があります。
任意後見法3条

本人と受任者が公証役場に出向いて、公証人の面前で契約内容を確認して、署名捺印することになります。(公証役場に行けない状況があるときは、公証人が本人のところへ出張することもできます。)

なお公正証書による契約とされているのは、以下のような理由があるからだと言われています。

①公証人が委任する本人の意思能力を確認することにより、適法有効であることを担保し、確実な立証を可能とすること(公証人が直接本人と面談します。)
②原本が公証役場で保管され、改ざん・滅失等を防ぐこと
③代理権に関する公的証明等のため、必要不可欠な任意後見契約の登記を慰労なく行うことができること

任意後見契約の登記

任意後見契約の公正証書を作成したときは、公証人は公正証書の謄本及び代理権目録を添付して、登記所に登記の嘱託をします。この登記がされていることが任意後見監督人を選任するための要件であり、法定後見に優先する効力が与えられているためです。

約10日後に嘱託登記が終了した旨の通知が公証役場に届きます。

任意後見契約登記後~判断能力が低下するまで

病院で本人の判断能力の低下が診断されるまでは、任意後見契約は効力を持ちません。ほかに締結した代理権契約などの法律行為を行いつつ、任意後見人と定期的に関わり合い、関係性を深めていきます。
もし契約内容を変更したい場合には、手間になってしまいますが、その都度公証役場で登記をし直しましょう。

任意後見監督人の選任

診断書により、家庭裁判所で本人に後見が必要な状態と判断されれば、任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約の内容どおり、適正に仕事をしているかを、任意後見人から財産目録などを提出させるなどして、監督する役割があります。

任意後見監督人とは、本人の親族等ではなく、第三者(弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士等の専門職や法律、福祉に関わる法人など)が選ばれることが多くなっています。

任意後見の実施

任意後見人が選任されると、任意後見契約の効力が生じ、任意後見人が職務を開始します。その職務は、本人の「生活、療養看護及び財産の管理に関する事務」(任意後見法2条1号)を行うことにあります。その職務を行うにあたっては、「本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」(同法6条)とされています。

具体的には、予めライフプランなどにより本人の希望を聞き取っていた時にはそれを尊重することや本人の意思を合理的に推測し、本人の利益のためにはどうすることが最善かと考えて職務を遂行します。

しかし、これを具体的に判断するとなると簡単ではありません。

本人の生き方や生活スタイル、価値観もあります。例えば、親しい友人の海外旅行の費用まで負担するか、高価なプレゼントを孫にあげるかなど実際の場面では難しい判断を求められることもあります。


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