声優さんも個人事業主
テレビをつければアニメはもちろん、ニュースやドキュメンタリー番組でのナレーションやボイスオーバー、洋画の吹き替えで、声優さんの声を聴くことができます。それ以外にもスマホゲームのキャラクターボイス、街に出ればスーパーやコンビニでの店内放送を耳にします。
とても夢のあるお仕事ですが、『仕事』ということは何かを販売している、という見方もできます。
パン屋さんがおいしいパンを売ったり、服屋さんがすてきな服を販売したりするように、声優さんは自分自身の声の技術や表現力を商品としている個人事業主、という見方もできます。
プロダクションに所属している方も多いと思いますが、所属しているからと言って毎月決まったお給料をもらうのではなく仕事の量に応じて報酬を頂いているそうです。(雇用契約ではなく委任契約ですね)
そして私の行政書士のお仕事的に考えれば、個人事業主でサービス業である声優さんには、小規模事業者持続化補助金(一般型)を提案して、声優活動のサポートをできないかなと考えてしまうわけです。
声優としての販路開拓費を国から補助してもらう
小規模事業者持続化補助金とは、ごく簡単に説明しますと、
小規模な事業者が、制度変更(近年ですと声優さんが気になるところですと『インボイス導入』とかでしょうか)などに対応するための経営計画を作成して、その計画に基づいて行う販路開拓の取組みなどの経費については一部補助してくれる、というものです。
小規模事業者持続化補助金【一般型】 持続化補助金とは (shokokai.or.jp)
声優さんのお仕事の場合の補助率・補助上限額
複数人を雇用した事業所ではない、個人事業主である声優さんに絞って考えると、小規模事業者持続化補助金の補助率と補助上限は以下のようになります。
補助率 :2/3
補助上限:50万円
(※インボイス特例の場合は計100万円)
類型 | 通常枠 | 賃金引上げ枠 | 卒業枠 | 後継者支援 | 創業枠 |
---|---|---|---|---|---|
補助率 | 2/3 | 2/3 (赤字事業者は3/4) | 2/3 | 2/3 | 2/3 |
補助上限 | 50万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
インボイス特例 | 50万円 ※インボイス特例の要件を満たしている場合は、上記補助上限額に上乗せ |
事業者持続化補助金の注意点
国が自分の生業を支えてくれる制度というのは非常にありがたいものですね。
ただし、その財源は税金ですので、下記のような注意点があげられます。
① 必ず補助金を受け取れる訳ではない(一説には採択率は約60%とのこと)
② 後払い(申請してから1年くらい後にお金が入ります)
③ 交付まで手間がかかる(申請は例えば弊所がサポート可能ですが、採択された補助事業を適切に運営するのは事業者ご自身です。そこが不十分だと減額されたり取り消しされたりすることも考えられます)
④ 申請後に購入しなければならない(もうすでに買ってしまったものは対象外です)
⑤ 開業届を出していること
⑥ 地域の商工会または商工会議所に相談し、助言を受けて経営計画書を作成し、申込を行う必要があります
補助金の使い途
補助金の使い途としては、新たな販路の開拓、または販売促進のために使うものであればこの制度の趣旨に添うものであるので、例えば自宅に収録スペースを作るとか、PR用の動画やHPを作成したりとかの計画があるのなら申請を考えてみてもいいかもしれません。
また近年国はインボイス制度を広めようとしているので、その会計ソフトの導入する場合にもつかえそうです。
(IT導入補助金を申請してもいいかもです。)
経営計画書の例文
申請時、『経営計画書』を提出する必要があるのですが、ここの内容が小規模事業者持続化補助金制度の趣旨に沿わないものですと、採択されることは難しいです。以下は私が知人の声優さんの近況を聴き、その経営方針・目標と今後のプランを例を考えたものです。
ご参考までにではありますが、ご覧ください。
- 1.企業概要
申請者は声優として活動している。声優として〇〇事務所に所属しているが(雇用契約でなく委任契約であるので、)個人事業主でもある。
2015年:デビュー作(作品名:●●、△△役)
……………
……………
アニメションの吹き替えやナレーションを中心に年平均年□本を担当。 - 2.顧客ニーズと市場の動向
コロナ禍に遭い、スタジオ収録の機会が激減(2018年△本→2019年▽本→2020年×本)した。
2023年5月に新型コロナウイルスが第5類に引き下がった後もスタジオ収録数は昔のような数には戻らず、微増にとどまっている。その理由を声優関係者に尋ねると、現在は個人スタジオで仕事をとる人が増え、以前のようにはスタジオ収録は増えないのではないかとのこと。
ただ、半プロの方も仕事をしているようで、水準に満たないものも多いことが問題点であるとのこと。 - 3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
申請者は芸歴◎年で、主に30分以上のビジネス向けの研修動画や15秒CMのナレーションを計〇〇〇本を担当。聞き取りやすく、心に残る日本語を今後も聴き手に提供していきたい。 - 4.経営方針・目標と今後のプラン
事務所から仕事の依頼を待つのではなく、自分から仕事を取りに行けるようになるため、自宅に個人スタジオを設けることを決意。所属事務所を介すのではなく、coconalaなどオンライン上で申請者自身の声優としてのナレーションスキルを直接販売していくことを計画。感染症対策とともに、製作者と声優が直接商談をすることが可能となるので、(マネージメント費の省略による)制作費の低減、ならびに(直接やり取りすることによる)意思疎通の明確化・スピーディーな対応を提供することが可能となる。
すでにcoconalaで年◇本・約◆万円(2023年)のナレーションなどを受注している◎◎さんの協力を約束してもらっており、そのアドバイスのもと防音設備・収録機材を揃え、2025年3月1日までにcoconala上にアカウントとボイスサンプルを作成し、今年度は年□本・■万円の受注を目指す。
上記はあくまでご参考程度ですので、採択をお約束できるものではありません。
それぞれの置かれた状況ややろうとしていることも違いますので、詳しいことをお聴きになりたい場合は是非お問い合わせください。
(初回のご相談は無料とさせて頂いております。)