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死後事務委任契約について

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概要

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後の手続きを第三者に依頼する契約のことです。
例えば、死亡届の提出や入院費の精算、葬儀の手配、遺品整理などが例として挙げられます。
自分が亡くなった後にある細々とした事務を親族に依頼できない、または依頼しにくい場合などに、有効な解決策になると言われています。

主な契約内容

①葬儀や埋葬の手続き

本人が亡くなった後、親族が葬儀社と葬儀の内容を決めていくことが多いですが、親族がいなかったり、疎遠だったりなどの理由で、どのような葬儀にするかを決めるのかが難しい場合があります。

そのため、自分の希望する葬儀を書面に残しておけば、残された側はどのような葬儀を行えばよいかを容易に決めることができるようになります。

  • 通夜・告別式の有無
  • 希望する葬儀場、葬儀プラン
  • 檀家に入っていればお寺の名前と住所
  • 参列を希望する人、また事後に知らせてほしい人
  • 香典受け取りの可否について、また受け取る場合はその遣い方
  • 埋葬方法(家の墓や永代供養墓、または散骨など)

これらをある程度固めたら、葬儀社に連絡し、見積もりを取っておくといいでしょう。葬儀費用はまとまったお金が必要ですので、費用からあらかじめその分を分けておくのが有効です。

②ご遺体引き取り

デリケートなテーマになりますが、自分が亡くなった後の自分の身体の扱いについても決めておくといいかもしれません。

入院中に亡くなられた場合は、死後事務委任契約受任者は病院から「死亡診断書」を受け取り、遺体を安置場所への搬送をした後、故人の希望通りの葬儀・埋葬を執り行えるように関係各所に連絡を取ります。
ご自宅で亡くなられた場合は、搬送先での医師の死亡確認、警察の検視・現場検証にも対応することになります。

どちらにせよ、周りの者はどのようにご遺体を扱えばよいかを非常に迷います。そうなる前に、どこの誰がどのように自分の身体を引き取るのか残しておけば安心してもらえるでしょう。

③行政官庁への届け出

亡くなられた後、役所にそのことを届け出る必要があります。代表的なものは「死亡届」「埋火葬許可申請」です。
注意していただきたいのは、それら届け出は、誰でもよいわけではなく、法律により一定の範囲が決められているということです。

「死亡届」については同居の親族が主な届け出人ですが、難しい場合には、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も届け出ることができます。
戸籍法第87条

また「埋火葬許可申請」は原則「死亡届」を出した人と同じ人が届け出ます。

本稿のテーマである死後事務委任契約の受任者は「死亡届」の届け出として認められていないということにお気づきでしょうか。
そのため、受任者は親族などに死亡届を出すことを依頼することになりますが、もしそれが難しいと分かっていれば、死後事務委任契約と併せて「任意後見契約」を結んでおくこともできます。
死後事務委任契約と任意後見契約を同じ人が受任することで、死後の様々な手続きを一元的に任せてしまう体制を作るのもよいかと思います。

④未払い料金の精算

医療費、家賃や駐車場、水道光熱費などの支払いについては、これらは相続人への債務となるので、明確にしておきます。
相続は預貯金や土地などのプラスの財産もありますが、マイナスの財産もありますのでお気を付けください。

⑤住まいに関すること

賃貸物件に住んでいた場合は、賃貸借契約の終了に伴う賃貸物件の引き渡しが必要です。
家財道具や生活用品をどのように処分するのか、なども決めておきます。
可能であれば死後事務委任契約受任者を大家さんや管理人さんに引き合わせておけば、いざというときに手続きがスムーズになるでしょう。

⑥サービスの解約

意外と忘れやすいのが各種契約の解約です。
電気・ガス・水道などのインフラ、携帯電話、駐車場などの業者名と連絡先を一覧にしておきます。受任者は速やかに解約手続きをすることで無駄な支払いを防ぐことができます。

⑦死後事務委任契約では扱えない内容の扱い

先述の死後事務委任契約では委任できない内容もあります。例えば遺贈(特定の人に相続させたい)、相続排除(一部の家族を相続人から外したい)などです。
法定相続人の相続権を侵害してしまうようなことは、本人の意思だけではどうにもできません。例えば相続排除を行いたい場合は家庭裁判所に申し立てる必要があります。

契約締結の流れ

死後事務委任契約は「亡くなった後でも本人の意思を最大限尊重する」ことがベースになっています。
しかし相続人の強い反対があった場合は、それを実行することが難しくなることも考えられます。
それに備えるためには、死後事務委任契約を『公正証書』として残しておくのが望ましいです。公証人法などの法律に則った「故人の意思の表明」となり、実現性が高くなります。
「公文書」になるので、信託金が相続財産と混同されたり、使い込まれたりするなどの不正が起こるリスクも低減できます。

まとめ

一般的に受任者は定期的に訪問するものですが、急にご本人が亡くなることも考えられます。その際、急に集まった周りの人が困らないように、死後事務委任契約を結ばれたら、可能な限り、周りの人にそのことと受任者のことを紹介するといいでしょう。
それが難しいようなら、目立つところにその契約が結ばれていることを置いておくことも有効です。
せっかく時間をかけて作った契約が無事実行されるように、周りに周知することも非常に重要です。


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