倉庫業を始めるには国土交通大臣へ登録申請をしなければなりません。
ただひと口に倉庫と言ってもその中に保管するものは様々で保管方法も様々です。
倉庫業法第2条で『「倉庫」とは、物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作を施した土地若しくは水面であつて、物品の保管の用に供するものをいう。』と定義しています。(倉庫業法第2条)
つまり申請時には、適当な添付書類で、保管物が滅失しない・壊れないような設備(例えば建築物として頑丈であるとか、必要な温度管理ができるとか)が備わっていて一定の基準を満たしていることを証明する必要があります。
ここでは倉庫の種類ごとの、申請時に必要となる主な添付書類の一覧表をご紹介します。
倉庫種類ごとに必要となる主な添付書類
種類 | 必要書類の例と 確認する内容 | 1類倉庫 | 2類倉庫 | 3類倉庫 | 野積倉庫 | 水面倉庫 | 貯蔵槽倉庫 | 危険品倉庫(工作物) | 危険品倉庫(土地) | 冷蔵倉庫 |
①使用権原 | ・登記簿謄本 ・賃貸借契約書 当該倉庫を所有権または賃借権があるかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②関係法令適合性 | ・建築確認済証・完了検査図面(1-5面) ・消防用設備等検査済証 ・高圧ガス製造許可書 当該倉庫が建築基準法・消防法・高圧ガス保安法などに適合しているか、または都市計画法・港湾法に該当していないかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
③土地定借性等A | ・立面図 屋根・壁を有し、土地に定借しているかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
④外壁、床の強度 | ・確認済証 ・立面図 ・矩計図 鉄筋コンクリート造で窓はなく、床は一定の耐力があるかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
⑤防水性能 | ・矩計図 防水塗装の屋根・外壁で雨どいの有無、また庫内に樋や水を使用する設備がないことなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
⑥防湿性能 | ・矩計図 床面はコンクリート造で金ゴテ押さえ仕上げとなっているかなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑦遮熱性能 | ・建築確認済証 屋根・外壁が耐火構造であるかなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑧耐火性能 | ・建築確認済証 耐火建築物であるかなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑨災害防止措置 | ・倉庫の配置図 倉庫外壁から10m以内に建築物がないので災害防止措置の必要がないことなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
⑩防火区間 | ・平面図 ・矩計図 庫内に事務所がある場合、耐火構造の床・壁で区画しており開口部は特定防火設備になっているかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
⑪消火設備 | ・消防用設備等検査済証 各階の一定の床面積ごとに消火器を設置しているかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
⑫防犯措置 | ・建具表 ・警備契約書 施錠扉、機械警備、部外者管理施設と隣接していないかなど | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
⑬防鼠措置 | ・平面図 ・矩計図 ・建具表 地窓、下水道、下水道につながる部分はすべて金網を設置しており、出入口の扉は完全密閉できるかなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑭防護措置 | ・倉庫の配置図 ・鉄柵詳細表示の平面図 倉庫の周囲が1.5m以上の鉄柵で防護されており、水面に面していないかなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑮防犯措置2 | ・照明装置詳細表示の平面図 ・警備契約書 防護施設周辺部照明は2ルクス以上ある、または機械警備の設置など | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
⑯屋上床強度等 | ・構造計算書 ・防護ネット詳細表示の平面図 屋上床の耐力は3900N/㎡以上あり、周囲に落下防止のための防護ネットを展張しているなど | 〇 | 〇 | |||||||
⑰水面防護措置 | ・築堤詳細表示の平面図 周囲に築堤があるなど | 〇 | ||||||||
⑱流出防止措置 | ・詳細断面 ・平面図 貨物を杭にして係留しているなど | 〇 | ||||||||
⑲土地定着性等B | ・立面図 ・矩計図 地に定着し、貯蔵槽全体がコンクリート壁で密閉され、内部に人が入ることができない構造となっているなど | 〇 | ||||||||
⑳周壁底面強度 | ・構造計算書 壁面は2500N/㎡以上、底面は3900 N/㎡以上の耐力があるなど | 〇 | ||||||||
㉑通報設備 | ・インターホン詳細表示の平面図 冷凍室各区画内外にインターホンがあるなどを確認 | 〇 | ||||||||
㉒冷蔵設備 | ・冷凍能力計算書 盛夏時庫内を10℃以下に維持する能力があることを確認 | 〇 | ||||||||
㉓温度計等 | ・集中管理システム仕様書 ・掲示板詳細表示の平面図 集中管理システムにより、庫内温度は電光表示板により確認 | 〇 |
まとめ(すばやく許可を受けるために)
以上が倉庫種類ごとに必要とされる主な添付書類です。
ただあくまで汎用的な”主な”ものです。
前項で倉庫申請を行う前に、その倉庫を管轄する自治体に事前相談すると書きましたが、その際に自分の倉庫がどの種類にあたるかを認識して、できる限り必要と思われる書類を揃えたうえで相談に行くといいでしょう。
例えば愛知県では次のようなチェックリストを用意してくれています。
checklist2.xls (live.com)
揃えたうえで相談に行けば、より具体的な相談をすることも可能になりますし、追加で必要とされる書類も出てくることもありますので、申請がスムーズになります。許可を受けるための事務作業の労力を減少するには、この事前の準備作業がキモとなります。